2023年11月16日(木):例会

「朝戸出の君」

國學院大學 文学部 日本文学科 教授(特別専任)
上野 誠 様

幾度となく京都MRCにて卓話を賜っている上野先生に、本日は「朝戸出の君」というテーマで御講演頂きました。
まず、先生がホワイトボードに記載いただいたのは「や(建物を表す言葉)」、次にこれに尊い方を表す「み」をつけて「みや」、そして、場所を表す「こ」を最後につけることで、「みやこ」(尊い方がいらっしゃる建物がある場所)という言葉できたそうです。そのため、京都とは地名ではなく、普通名詞であることをご説明頂きました。
また、松井先生のお嬢様が斎王代を務められた葵祭に上皇両陛下がお越しになられたことについて、勅使がいらっしゃるにも関わらず、上皇両陛下がお越しになられたのは非常に稀なことだったことをご説明頂きました。
最後に、「朝戸出の君」の歌は、平安の時代、女性のもとに通われる男性は「寝ぐせ」もそのままに、朝早く出ていく習慣があったそうで、そんな早朝に出ていくあなたを送るために裳の裾が濡れてもいいわという情熱的な恋の歌だそうです。
上野先生がこの歌に浸りながら仕事を出るために家をでようとして、奥様の見送りを期待すると…家の鍵をかけられるというオチで、本日のご講演が終了致しました。上野先生、貴重なお話誠に有難うございました。